

たかしん文庫第三弾は重松清さんのビタミンFです。
七つの短編が盛り込まれた短編集となっています。
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学生の頃「カシオペアの丘で」を読んでから、「重松清さんっていいなー」と漠然と思っていましたが、読書への好奇心は続かず、大人を迎えてしまいました。
読書の熱が再燃し、もう一度重松清さんの作品を読みたい!と思ったので、代表作である「ビタミンF」を読んでみることにしました。
最後まで読んでいただけると幸いです。
あらすじ
38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。
40歳、中学1年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせば良いのやら。
36歳、「離婚しても良いけど…」妻が最近そう呟いた…。
一時の輝きを失い人生の”中途半端”な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。
「また、頑張ってみるか」、心の内で、こっそり呟きたくなる短編7編。直木賞受賞作。
感想
読んだ感想としてまず思ったのは、「読む年齢層によってこの作品の見方は異なるんだろうな」ということです。
私含め、10代~20代前半の若者から見た視点。30~40代の大人として成熟してきた世代から見た視点。50代以上の人生の荒波を乗り越えてきた世代から見た視点。
どの世代にも色々な意味を含んで、しっかり伝わるものがあると思います。
この作品はあらすじにもある通り、七つの短編から成り立っているのですが、その作品の全てで”中途半端”な30代半ば~40代にかけての男性にスポットライトが当てられており、その男性と子供との関係性や妻との関係性など、家族関係に主に悩み苦しむ様子が描かれています。
私はまだ、その”中途半端”な年齢には達していないし、妻と子供も居ません。ただ、作品を読んでいると、自身の幼少期時代を回顧し、
「自分の父や母は、自分の知らないところで悩み苦しんでいたのかな」
という気持ちに陥り、今まで育ててくれた両親への感謝の気持ちが強く芽生えました。
振り返れば、自分自身反抗期も勿論あったし、両親に対してきつい言葉をかけたり、不安にさせるような場面も多々ありました。
小さい頃は今みたいに考えることは難しいと思いますが、この作品を読んだ後では両親の見え方が変わってきますし、もっと言葉や行動で感謝を伝えなければいけないなと感じました。
これはあくまで20代の、まだ家庭を持っていない私が感じた事であって、家庭を持つ30代、40代の方からすると、冒頭でも説明した通り見え方は異なってくると思います。
また、全ての作品に共通して言えるなと思ったのは、「家族間に入った”ひび”を完全に修復し、理想の幸せな家庭を取り戻す」という話ではなく、「”ひび”を受け入れ、不安や葛藤を抱えたまま、それでも前を向いて生きていくんだ」という力強い話だということです。
全て映画みたいにハッピーエンドに終わらないのが人生だと思うし、逆にハッピーエンドで終わらないからこそ、より現実味を帯びて私たち読者に迫ってきます。
人は悲しい現実、辛い現実を突きつけられたとき、逃げ出したくなる生き物だと思います。でも時に、乗り越えなければならないときがあるのも事実です。
そんなとき、この本は私たちに”勇気”を与えてくれると思います。
是非、気になった方は読んでみて下さい。
まとめ
いかがだったでしょうか。
現実から目を背けたくなるときもあるかもしれませんが、この本はそんなあなたに少しでも勇気を与えてくれると私は思います。
重松清さんの作品は今後も読んで行きたいと思いますので、また読んだらレビューしたいと思います。
他にも様々なおすすめの本をご紹介しているので良ければ是非読んでみてください。前回の記事↓
最後まで読んでいただきありがとうございました。